流れに任せた仕事人生の始まり

我想う支援日誌
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今の葬儀支援を始めるきっかけは、今回の著書にも書いた通り、現行の葬式への疑問、違和感、間違いを僕に聞かされた千明が『自分は他人を騙しているのかもしれない』と思うようになり、当時勤務してた大手互助会の会員募集営業の仕事が出来なくなった事ですが、その後の言動が常識的には理解し難い発想で、美容業の経営者だった僕に「葬儀屋しませんか?」の一言から始まったわけです。

仕事人生を振り返ってみると、スーパー業界は声を掛けられ移動、ようは引き抜きで点々とした人生を歩き、20代半ばで同級生から父親が経営する食料品店の相談を受けた事、その後は経営の勉強を始めた矢先、嫁さんの知り合いが免停になり30日間限定で美容室ディーラー(材料屋)営業の運転手をした事がきっかけです。

前職の美容業経営者は美容室の経営指導をしてた事もあり、社交辞令で「一緒に仕事したいですね」と言われるのは常でしたから「そうですね」と気軽に答えてましたが、300万円の出資金で僕を代表として本当に有限会社を作ったと報告を受けたのと、突然の腹痛で1か月の入院生活を送ったのがきっかけでした。

改めて考えると、武井という人間は自分の意志より誰かに求められた仕事を40年以上行い、流れに任せた仕事人生を生きてきたと分ります。確かに良くも悪しくも流れには逆らわず、まずは乗ってみる性格だと思ってはいましたが、20代からずっとそうだったとは思ってませんでした。

正確にはスーパー業界の引き抜きも流れに乗ったこ事になるでしょうが、何処にでもある話しで特筆する事もありませんので、友人宅を手伝う事になったきっかけから詳細を書いて振り返ってみます。

数年ぶりで友人から突然の相談

当時はスーパー業界で働いていましたが、数年ぶりで友人が訪ねてきて相談されました。20才過ぎまで男2人、女1人の同級生でつるんで遊んでた時期が長く、親友と呼べる彼女の家の父親と蒸発した僕の父親は同業者で友人だったそうです。

昼頃遊びに行くと寝てる事もあり、そんな時は親父さんから「武井君、起こしてきてくれよ」と言われましたから、今思えば20才の娘の寝てる部屋に入る事を親が勧められるほど安全牌だったのでしょうか。

代表
代表

お、久しぶり、どうした何かあったのか?

友人
友人

うん、実はお父さんは元々心臓が悪くて東京の病院に手術入院してたんだけど、結局、手術は出来ず「ヒビの入った茶碗と一緒、大事に扱えば長持ちするけど、雑に扱うとパリッと割れちゃう状態」と言われて退院、店を閉めたまま自宅療養してたんだけどさ、こんな生活は嫌だ調理場で倒れても良いから店を開けたいって言いだしたのよ・・・どうしたら良いと思う。

代表
代表

ん、元々家族経営なんだから店を再開すれば良いんじゃねぇの?

友人
友人

そうなんだけど、あの性格だから始めたら市場の仕入れ、調理場、絶体に無理をするから、いつ倒れるか分らないってお母さんも心配してるし、私達もそう思うんだよね。何か良いアイデアは無いかと思ったら、武井君に相談してみればって家族に言われたし、私もそう思ったからさ、、

代表
代表

こいつが来る時はいつも困った相談、以前は彼氏と別れたら、今まで使った金を返せと言われたと泣きついてきたから、一銭も払わず綺麗サッパリ別れる交渉を喫茶店でした事もあったけど、今回は家族の生活と親父さんの生き甲斐と命も掛かってる事だから適当な対応はできない、自分で自分の本音の声を聞いて「YES」ならまだしも「NO」なら、なまじ期待を持たせないほうが良いから即決しないとだな・・・さぁ、どうするんだ。2~3分ほど考えた回答は――、

代表
代表

じゃあさ、親父さんにこう言ってくれ、俺の中に湧いた商売の理念があって「我が店はお客様の為にあり」って感覚なんだけど、これを実践で試す事と1年間だけの約束で良いなら、俺が手伝えば家族の心配は半減するんだろ?

友人
友人

本当! お父さんは絶対良いって言うし、家族も武井君なら大賛成するから、早速、帰って家族に伝えてから武井君に連絡するけど、それっていつ頃の話しって言えば良いの?

代表
代表

退職届けは1か月前の規定だから、再開の準備を考えれば丁度良いんじゃねぇか

友人
友人

うん、わかったありがとう

商売の真髄を教えられる

いつもの事ですがじっくり考えることなく、即決する性格は今回に限らず結婚してからも続きましたけど、どんな事をしても家族を路頭に迷わせる事なく、食わせる事だけは厳守する自信があれば、仕事なんて、どんなに替わったところで全く問題ありません。

結果2年間手伝いましたが、試した理念は間違って無い事を実感、スーパー業界で育った僕は、価格設定に於いて売価還元法「1-値入率分の原価」という公式が基本でしたが、鮮魚は競り市で買った価格より商品の質が良ければ数倍になる事もあれば、落札価格の1割にしかならない事もあるし、手を加えれば利益を出せる事も教わりました。

例えば生鯖なまさばが原価100円なら売価150円で売れますけど、原価250円だと売価360円では誰も買いませんが、シメサバにして1本で250円×4皿売れば3本で原価はカバー、残りの7本は150円で販売できます。鮮魚はパズルのような商売、単純計算では駄目な分野であると教えられたり、魚それぞれの鮮度の見方なども教えて貰えたりして、大きな組織では勉強できない商法や目利きを学ぶことができました。

これが仕事人生で「金」の問題でなく相手の事を考えた流れで動いた最初だと思う。
この2年間で『商売の真髄』とも言える冥利みょうりを得た事、著書に書きましたが商才に長けた祖母から教育された商売で大事なのは「金」でなく『信用』と『思い遣り』の実践を見せて貰えた事が、この先の仕事人生の糧になったのですから、流れに乗るとは決して悪い事でせは無さそうだと実感できた体験でした。

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