半年近く飛び込んだ「葬儀屋」と「寺」で様々な話しを聞かせて頂きましたが、結論から言うと自信を持って紹介できる葬儀屋との出逢いはなく「5万円で骨壺に納まるプラン」を話せる葬儀屋すらなく、当時火葬だけの葬式の最低料金は10万円+税、我々が目指す料金の倍額でした。
当時の直葬10万円は最安値ですから紹介手数料1万円でも、もう少し高額設定にする必要があり、葬儀支援センターを持続させる事で利用者を圧迫したら本末転倒、そもそも目指すのは『一銭も要らないお葬式』、動く前から妥協すべきではない。
念のため同時進行してたNPO法人設立の定款は「紹介業」だけでなく「葬式施行」も加えました。
話は少しずれますがNPO法人設立に際し、2008年3月の時点で大手葬儀社に勤務してた千明に退社する時期を確認したところ「来年でも良いですか?」と言われた事から、当時の僕の本心と2つの疑念を持ちました。
「1」この人は本気だろうか?パート感覚だとしたら動くべきではない
当時から会員制を検討しており、入会から10年、20年後に利用する人もいるのが葬式会員、お気楽に始めて、お気楽に辞めるような覚悟ならスタートすべきでないと伝えたたけど「来年でも良いですか?」の言葉を聞き、本当に信頼できるまで3年近く掛かったと記憶してます。
経営者からすると最も避けたい1つとして入社から1年2年で辞める人の採用、ちょっと考えれば分かりますが特定作業のパートなら分かりませんが、1年や2年で一人前になりませんので先行投資、採用すべきでない人であり、採用しても辞めるなら早々に退職してくれたほうが損失は減らせます。
新入社員等に「信用している」と言う上司もいますが、昨日今日逢った人を信用できるはずがありませんから僕は「信用はしていません」と伝えます。信用してると言う人は後々と嫌な上司になる可能性のほうが高いですが、後者ならそれはありません。
信用できるまでの3年間、千明は辛かったはずですが、4年目には信頼に足る人物と分かりましたので、僕にもしもの事があった場合でも中枢にいられるよう現金管理も含め経理から教えました。
その後は法務局・陸運局・税務署の仕事を全て任せたので、今あんしんサポートにいくら「金」があり、いくら「買掛金」があり、極端に言えば売上がいくらかさえ聞かず、助言を求められた時だけ意見を伝えて10年以上になります、信頼できると分かれば本当の意味で任せるタイプです。
「2」団塊世代の終幕期が本格化する2030年を想定すると間に合わない
2007年当時から2030年の団塊世代終幕期までに『直葬が市民権を得ておく必要がある』、2035年辺りが死亡数のピークになるはず、ところが当時「直葬は葬式ではない」とまで言われ、この意識を変革させるのは容易でなく設立10年後の2018年の段階でも焼け石に水状態でした。
直葬も普通とすべき理由、65才以上の独居老人が確実に増え、2030年には750万人を超える可能性すらあると想定したのは、子供達が親と一緒に住まない現実が増え、長年の別居は独居になっても同居が難しいのは明白、更に独居になれば年金は半額近くまで下がるのです。
ところが2019年から3年間、魔のコロナ感染が世界的に広がった事から10年前倒しとなり、直葬が市民権を得られた事だけはコロナで唯一良かった点でしょう。葬儀屋の多くは1施行当たりの売上減少で大変でしょうが、当支援センターは全く影響はなく入会希望が増え続けました。
複数の葬儀屋の仕事内容を吸収する為
話しを2008年に戻すと、紹介できる葬儀屋が無ければ自分で施行するしかないと、県内を数区分して地域毎に信頼に足る葬儀屋に施行依頼することで、収入の大半は葬儀屋に代行料として支払い殆ど利益は出ませんが、異なる地域の施行作業や葬具等を依頼者立場で無料体験できると2年間限定で設定。
群馬県内でも地域が違えば葬式の流れや作法も異なり、ご遺体保全、納棺師、葬式の流れなど施行側として必要な知識、法律、そして宗教についても実践で学ぶ事ができました。
いつか菩提寺から離れると覚悟
日本で一番多い仏教葬ですが「寺」は苦しい庶民の味方の思い込みは間違いだと教えられた最初が、葬儀支援センターの文字を見て、相談ができる役所だと思って来られた家族でした。
家族の終幕が近いと言われ、家が菩提寺の隣にあり、家族に障害者もいて大変だと聞かされ、無理して葬式をする必要はなく火葬だけして菩提寺の墓に納骨を勧めた。寺も家族の生活事情を知ってるなら布施は受け取らないだろうと伝え帰られました。
それから数か月後に来られた家族から聞かされたのは「40万円の布施を要求された」の言葉に驚愕、家族事情を知りながら40万円の布施を要求できる人間が宗教者か!? の怒りを覚えましたが、きっとその住職がクソ人間なだけで大半の住職はまともな人間なはず――、
初めての葬式はNPO設立前
2008年6月27日NPOあんしんサポート葬儀支援センター設立、その半月ほど前、うちの嫁さんからの紹介で「先程、お爺ちゃんが亡くなった部下がいるんだけど、お金が無いんだって、安く葬式してあげられる?」と依頼電話が入り、30分だけ待ってくれるよう伝えて電話を切った。
当時は紹介業を目指しており葬儀屋なんて何処も大差ないだろうと思い近くの葬儀屋に行き、その旨を伝えると快諾してくれたので、お迎え先を伝え我々も依頼者の自宅前で待機、30分ほどすると病院から故人を乗せた軽自動車の寝台車が到着。
車内から真っ白なシーツに包まれたご遺体を乗せたストレッチャーの片側を持ったが思ってた以上に重い、そのまま部屋に運び布団に寝かせると遺体を見たが、思ってたより嫌悪感や恐怖感はない。
葬儀屋さんはドライアイスの包みを広げ、1本1本綿花で包んでいるが『事前に包んで保冷ボックスで持参するほうが見てる家族達の印象は良いんじゃねぇかなぁ』と何気なく思えたが、この違和感が依頼した葬儀屋の全てであると後になった分かるのです。
保冷剤を当て布団を掛けると枕飾りと呼ばれる線香具を準備、家族が線香を供えてると「葬式内容が決まったら連絡してください」と言い葬儀屋は帰ったしまった。『えっ、俺らが打合せするの?やった事ねぇし』と思いながらも家族の手前顔には出せず、葬儀屋が置いていったパンフレット類を確認します。
未体験ですから突っ張るより正直に話したほうが良いと「今月中にNPO法人の葬儀支援センターを開設しますが、法人開設前でもあり法人として初めての施行ですので、今回は全て無料でお手伝いさせて頂きますので宜しくお願いします」と伝えました。
すると家族からの第一声は「お金が無いので一番安い葬式にしたい」と言われたので内心ラッキーッ!と思い「ならば火葬だけの葬式にしましょう」と話してると、故人の弟さんである叔父さんが来て「火葬だけって訳にはいかないし、俺が費用は出すから一応の葬式の体裁は整えたい」と言います。
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