あんしんサポート事務所は経営する美容室の2階事務所に併設してあり、建物裏側の薄暗い階段を上らないと出入り出来ず、知らない人からすれば妖しさ一杯の葬儀支援センターですが、千明の従兄が胃癌で弱り始めた父親の事で相談に来ました。
彼からすれば従妹が働いてる場所でもあり、自らは余り多くを語らず「あんしんサポート」の理念、考え方、これからの方向性などを聞かされ入会して帰ったのですが、その年の10月、父親の葬式を済ませた彼から出たのは、お詫びの言葉と父親から相続した山林を使ってくださいの提案でした。
突然の来社と言葉に理解できず、お詫びとは?と訊ねると、1月に話しを聞いた時「聞いてると本当に良い話しだけど、そんな葬儀屋は見たことも聞いた事も無かったから、葬儀屋なんて何処も大差ない、、胡散臭いと思っていました。すみません」と改めて頭を下げられました。
前橋市から車で1時間の沼田市での葬式の数日間で聞かされた話は全て本当だったと分かると、自分の勝手な思い込みで疑った事が恥ずかしくなったそうです。
不動産相続は、ひとりっ子で問題は無いから自分で出来ると言いましたが「自分ひとりだと不安なので一緒に行って貰えませんか?」と言われ、後日片道1時間の距離にある法務局の駐車場で待ち合わせ「職員の話しが理解できない時は僕の顔を見て」と伝えておきました。
相続の話しが始まると時々僕の顔を見るので、職員の話しを噛み砕いて伝えたり、彼の質問や疑問や希望を法律を考慮しながら職員に伝えたりでしたが名義変更は無事完了したようです。
登記変更が完了する日「電話が無かったので登記が完了したようです」と報告に来てくれたのですが「良かったからこの山林を散骨場に使ってください。勿論、無料で結構です」と言われたので「ん?散骨場って突然どうしたの?」と聞きました。
僕は覚えていませんでしたが、入会相談に来られた時、2030年代の近未来予測の中で例え5万円火葬支援パックを完成させられたとしても、赤字になる可能性が高く継続させるには補填事業の一環として散骨場の取得が絶対条件になると言ったらしく、それを覚えてくれてたようです。
散骨場が必要になる理由
少子化で墓守不在となる家族は確実に増え続け、高額な布施や年間費用を取り続ける寺から離れる人も増えれば、必然的に墓閉じが増え出てきた遺骨の処理も必須となります。
2008年は「樹木葬」なる言葉が出始めた頃でしたが、樹木葬は墓なので墓の法律が適用される為「改葬手続が必要」なのと樹木葬を運営する法人の永続安定も定かではありません。
また菩提寺の墓を閉じて菩提寺の永代供養墓に入るとか、菩提寺の樹木葬を利用する!? それなら墓閉じする必要はありませんので意味が分かりません。。寺によっては年会費、寄付金などの布施を要求し続けられる可能性さえあります。
そこで「改葬許可無用」で「墓の法律が適用されない」のは『手元供養』と『散骨』の2つ限定だけど骨壺を家に置き続けるのは厳しいので費用面も併せて考えると散骨が増えるのは明白でした。
散骨には「海」と「山林」の二種類が一般的ですが個人的には「山林一択」理由は海で生活する漁民にとって風評が出れば死活問題だからで、何十kmも離れた海なら問題ありませんけど業者心理からすれば燃料が安くて済む湾内や近海に撒くはずですから風評問題は必ず出るはず。
一方、山林自然散骨は自社所有の山林であれば法的な問題はなく、散骨は専用機械で飲み薬状にした粉骨を撒きますので雨が降れば地に染みるので、日本人の中にある土に還るの発想からも適しています。但し地元民からすれば決して気持ちの良いものでなく場所の公表すべきではないと思う。
課題は日本人の感覚として手を合わせる場所が無くなるので、粉骨の一部を湿気の入らないジップロックに入れ可愛いケースで手元供養すれば、老いて墓場に行けない人も、いつでも手を合わせられ、旅行にも持っていけ、好きだった場所や故人の両親が眠る墓に少量撒くこともできます。
2008年当時、散骨する家族は殆どいませんでしたが、墓に対する考え方は根本的に変わらざるを得ない時代に突入するのも明白、2030年から急増する団塊世代の終幕期までに散骨や一部手元供養も市民権を得ておく必要があると考えました。西日本は元々少量拾骨なので理解も進行も速いはずです。
それと葬儀支援を始めてから実感として、墓は骨壺を置くカロートと言われるスペースがあり、四方はコンクリートでも底面は土なので超多湿、乾燥した焼骨が湿気を吸い骨壺の中は水が溜まり、カロート内は真っ暗で虫が這っている光景を見てから「俺の墓は要らない」が本音です。
出し入れ自由な永代供養墓
『散骨+手元供養』の発想は日本に無く当支援センターオリジナルですが、遺骨を『墓』に入れる習慣が簡単に変わるとは思えませんので、粉骨した一部を密閉できるビニール袋に入れ更に小さな専用容器に入れて地下でなく地上の永代供養墓に入れるシステムを考えています。
納骨は少量だから1壺程度の永代供養墓でも1,000体は預かれ、地上だから明るく、地下ほど湿気もなく、遠方に転居する際は持って行け、墓参りが出来なくなったら手元供養に変更出来て、最大33回忌まで預けたら散骨or手元供養に変更、出来れば無料若しくは2千円程度までの管理費が理想です。
懸念は下手な場所に建立した場合、もし、あんしんサポートの存在が消滅したら朽ちる事になりますから、次世代がおられる寺墓所の建立がベターでしょうけど、当方の考え方も含め受け入れてくれる寺を探すのは至難の業でしょうね。
散骨費用は8万円で設定
粉骨専門業者に依頼する費用、家族を乗せて前橋から片道90分の距離まで乗せて行き、家族自身で散骨して頂き、帰りは前橋まで乗せて戻ってくるまでの総額と、墓から出した骨壺の中はびっしょ濡れですから、天日で完全乾燥させ、釘、入歯、メガネ、時計等々は全て取り除いて送付します。
最も面倒なのは虫歯の穴を塞いでる銀色の金属、これは磁石に付かず目視で除去するしかなく、取り除かなければ専用機械の歯を壊してしまう可能性さえあるからで、尚且つ骨壺の廃棄費用も考慮すると、散骨費用の総額は1体8万円で設定しました。
ところが2010年9月、料金設定を考えさせられる事になったのは高崎市のお婆ちゃんでした。
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