「5」家族目線の葬儀屋紹介業

一銭も要らないお葬式
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「僕が葬儀屋を始めるには銀行融資を受けるから葬儀屋と大差ない料金設定をするしかない。葬儀屋以外で何が出来るかって言われたら座っていても分からないから、千明さんの時間がある時に色んな人達の話しを聞いてから考えるってのはどう?」「はい」と笑顔で帰りました。

『家族に必要とされ、葬儀業界8年間が役に立ち、且つ千明さんの家族が食える仕事は何だろう?』と考えると「葬儀屋」と「家族」の間に入り「家族目線の葬儀屋紹介業」はどうだろうと考えた。

既存の葬式なら現存する葬儀屋で充分、問題は父親のような葬式を希望する人、無信仰者の人、余裕の無い人達を対象にした無料の葬儀屋無料紹介業、葬儀屋から安めのキックバックを受ければ、千明家族が食うくらいの収入は得られると、翌日から「家族目線の葬儀屋」この1点で飛び込み続けた。

数か月間は片っ端から葬儀屋と寺に飛び込んで話しを聞かせて貰い、続いて葬式経験者も100名以上に話しを聞かせて貰った結論として「葬儀屋大嫌い」「寺も不信感一杯」だった事から、単なる紹介所でなく葬式関連全ての支援をしようと『葬儀支援センター』と名付けました。

葬儀支援への強烈な流れ

「葬儀屋」「寺」は各々数十件づつ話しを聞かせて貰いましたが、葬儀屋さんは何処に行っても「うちは喜ばれてます」と言い、寺は口を揃えて「布施はお気持ちですから」と言うので、当初は葬儀屋と寺は人の死に関わる仕事をするだけに人間ができていると思いました。

ところが葬式経験者に話しを聞くと初めは建前で話しますが、慣れてくると全員が「葬式代が高過ぎる」「布施が高過ぎる」と言い出すので「依頼した葬儀屋さんで良かったんでしょ?」と言うと「いいえ」という言葉と「何処か良い葬儀屋ありませんか?」と返ってくるのです。

続いて「でも寺のお布施って家族の気持ちでしょ!?」と言えば「何言ってるの、ちゃんとメニューに料金が書いてあるんですよ。最初お気持ちでって言われたけど皆さんどうされてるんですか?って聞いたらメニューを出してきて50万円、これでお願いしております。って言われちゃったわよ」と言うのです。

『まぁ、そんな寺もあるかもな』と思いましたが、さすがに100人の経験者から異口同音を聞くと「うちは喜ばれてる」と「お気持ちですから」は「嘘!?」、葬儀屋は社交辞令を真に受けてるだけ? 家族が自分で決めた布施額なら「高い」とは言いませんから「嘘!?」

葬儀屋も寺も使い慣れた言葉の印象でしたから、同様の言葉を使い過ぎて「嘘」を言ってる自覚すらない!?当初尊敬に値すると思ってたから無性に腹が立ちます。

葬式代もローン返済!?

「これは大変だと思って入会に来ました」意味不明な発言から始まった事前入会「何が大変なの?」と聞かされたのは、そこまでするかぁ――、と思う内容でした。

友人の専業主婦は癌を患ったご主人の入院治療費で1千万円以上掛かり貯金も底をついて終幕を迎えると、親戚、寺、葬儀屋の意見に圧倒され10名ほどの家族葬を行ったが、葬式代と寺の布施で150万円を超え現金で支払えずローンを組まされ、葬式代の返済でパートの仕事を始めたそうです。

葬式って借金してまでする事ですか? 僕の中ではあり得ませんし、ローンを組んで葬式させる葬儀屋、寺、親戚って残された家族の生活は無視?家族の敵ですか? 話しを聞く限り元凶は故人の兄弟姉妹、口は出すけど金は出さず、葬式後は知らんぷりだそうです。

葬式経験者が感じた印象と疑問点には共通点があり次のようなものです。

・プランと言いつつ必須項目絶対に必要なものでさえ含んでおらず追加料金発生
・見積書と請求書で50万円以上が上乗せされる
・「棺」「骨壺」を始め殆どの項目で高額な物を選ばせて追加料金発生
・「供養ですから」「最後ですから」の言葉を頻繁に使う
・「お花は沢山あったほうが良いですよね」と追加誘導される
・安置料、ドライアイスは事前説明すらせず追加料金発生
・請求者には家族が見ても意味不明な項目がいくつもあるある
・会員は定価の半額と言われたけど「棺」の定価が別の葬儀屋より高い

5万円で骨壺に納まれば「一銭も無くても安心」

公営の市民活動支援センターに集まる老人達と話すと「葬式は100万円掛かるんですか?」「100万円あれば死ねるかね?」やたら100万円という言葉が出てきますので「そんなに掛かりませんよ」と言ってはみても。当時は具体的な数字は示せませんでした。

サラリーマンだった人は15万円~の年金でも、個人事業主だった人は最高で65,000円、4~5万円の人達はいくらでもいて『大変だなぁ』と思っていると、お婆ちゃんが「うちの旦那が死んだとき国保から7万円貰ったよ」と聞き、すぐに市役所に行って確認しました。

国民健康保健課の窓口で訊ねると「はい、葬祭費として7万円支給されます。でも4月から5万円になりますけど、、」と言われた「えっ何で下がるの?」と聞き返したけど、担当者を問い詰めても意味はないと給付申請用紙を貰って帰りました(2008年4月から5万円に減額)

という事は5万円だけで骨壺に納まれば国民年金で暮らす老人も安心して暮らせる。それを実現してくれる葬儀屋さんを探せば良い!とやるべき目標が見えたと意気込みます。

まずは逢う人逢う人に同じ質問を重ねた結果、大半の人は「それが本当なら助かるよなぁ」の言葉に続き「でも無理だろ!?」か「そんなの出来るはずねぇよ」と言うのです。

あれだけ調べた僕でさえ原価すら分からないのに、何も知らない素人が完全否定するのが不思議です。そこで少し話しを掘り下げてみると理由が見えてきました。

第一に『葬式は高額』の固定概念から、そんな金額で出来るはずが無いと思う、続いて大手葬儀社でもできないのに小さな葬儀屋が出来るはずがないと思い込んでる人は多いようでしたが、結論を言えば、その発想は真逆、会社が大きくなれば経費が増えますから料金は高くなります。

皆さんの地元にある葬儀屋が大手より高いとしたら、利益を沢山取ってる葬儀屋だと思ってよく、分かり易く言えば家族経営なら人件費を我慢させられても他人の社員ならそうはいかんでしょ!?

ただ前橋だけでも60軒以上の葬儀屋があると言われてましたから、全県となれば1軒や2軒は家族目線の葬儀屋があるはず――、それを探し出せば良いと思ったのです。

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